「過払い金」という言葉を耳にしたことはあっても、その内容を詳しく理解している方は少ないかもしれません。また、過去に弁護士に相談したけれども納得できなかったという方も多くいらっしゃいます。さらに、弁護士に相談するのが面倒だと感じたり、借りたお金に対して利息を払うのは当然だと思っている方もいるでしょう。しかし、過払い金は法律で定められた利息ではありません。
ラジオやテレビのCMでは、「あなたにも過払い金があるかもしれません」というメッセージが流れています。「私にも関係があるのかな?」と思う方もいるでしょう。しかし、「過払い金の存在を尋ねるのは恥ずかしい」「もし過払い金がなかったらどうしよう」と不安に感じている方や、相談先がわからない方も多いのが現状です。
そこで、今回は過払い金請求について詳しく説明します。「過払い金請求とは」「過払い金請求が可能な方の条件」「過払い金がある可能性が高い金融会社名」「過払い金請求の時効」「過払い金請求は弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきか」「過払い金請求にかかる費用の相場」「過払い金に悩むなら弁護士に依頼しよう」などについて、わかりやすく解説します。過払い金について正しく理解し、取り戻すサポートができれば幸いです。

過払い金請求とは

「過払い金」という言葉の意味をご存知でしょうか?その名の通り、「支払いすぎたお金」を指します。
もし過払い金があれば、借入先に対して「返してほしい」と請求することが可能です。この手続きを「過払い金返還請求」と呼びます。
この記事では、「過払い金」についてその意味をわかりやすく整理してみたいと思います。

過払い金とは

2006年まで、消費者金融等は個人客にお金を貸す際、非常に高い金利(法律の上限を超えた金利・29.2%~40.004%以上の利息など)を徴収していたのですが、これがまかり通っていたのです。
この法律の上限を超えて支払っていた利息が、「過払い金」です。

過払いが発生した理由

「過払いが発生した理由」については、利息の上限を定める法律と高利貸付に対する罰則を定めた法律が異なり、両者の基準が一致していなかったことに起因します。
利息の上限を定めているのは「利息制限法」であり、これにより定められた利息の上限は、貸付金額によって異なりますが最大20%です。一方で、高利貸付に対する罰則を規定しているのは「出資法」で、こちらでは29.2%を超える利息に対して罰則が適用されます。そのため、消費者金融などは出資法の規定に従い、利息を29.2%に近い水準で設定する契約を行っていました。
また、貸金業法には、「借り手が自分で支払った利息については有効である」とするルール(通称「みなし弁済規定」)も存在していました。このため、実務上は支払ったかどうかの確認が行われることはほとんどなく、借り手が契約内容に異議を唱えなければ、支払ったものとみなされる仕組みが長期間続いていました。

過払い金を取り戻せる理由

「過払い金を取り戻せる理由」– なぜ返還請求が可能になったのでしょうか。それは、2006年1月に革新的な最高裁判決が下されたことが背景にあります。この判決は、従来の「みなし弁済」という考え方に一石を投じ、特定の条件下ではみなし弁済を認めないという内容でした。
一般的に、お金を借りた人がより多く返済しようと思うことはないはずです。しかし、借入金の上限を超えてしまったことに気付いた場合、「金利を見直してほしい」と金融機関と争っても、次の返済期日が迫ってきます。支払いを怠ると遅延損害金が発生したり、一括返済を請求されるリスクがあるため、実際には「自分が返済しているわけではない」と認識されてしまうのです。
この最高裁判決を受け、金融機関は自主的に金利の見直しに取り組むようになりました。2020年6月には法律も改正され、出資法では上限金利が引き下げられ、貸金業法ではみなし弁済が撤廃され、消費者金融は利息制限法を超える金利を設定できなくなりました。
法改正以降、すべての金融機関は利息制限法を超える金利を適用することはなくなりました(違法業者は除きますが、違法業者からの借入は無効です)。したがって、過払い金が発生する可能性のある借金は、2010年以前に契約を結んだものに限られるということになります。

過払い金請求が可能な方の条件

過払い金請求とは、消費者が貸金業者から借り入れた際に、法定利息を超える金利で返済をしていた場合に、その超過部分を取り戻すための手続きです。過払い金請求が可能な方の条件について、以下のポイントを参考にしてください。

・2010年(平成22年)前後に契約した人が対象になります。一度完済して、再び契約している方も対象になる可能性が高いです。
・1990年頃または平成2年頃までに生まれた方で、18歳になりクレジットカードや消費者金融(サラ金)から借り入れをした経験のある方が対象となります。1990年(平成19年)よりも前に生まれている方で、クレジットカード会社や消費者金融(サラ金)からお金を借りたことが有る人は、もちろん対象になります。
・過払い金請求は、消費者金融やクレジットカード会社からお金を借入したことが有る方に対して行われます。買い物でのローンやリボ払いは過払い金請求の対象になりません。
・過払い金が発生するためには、契約時の利率が法律で定められた上限利率(利息制限法に基づく)を超えている必要があります。これは、借入金額によって異なりますが、一般的には18%を超える金利が適用されている契約が該当します。2010年(平成22年)前後まで、ほとんどのクレジットカード会社や消費者金融は18%を超える利息で貸し付けを行っていました。

過払い金がある可能性が高い金融会社名

■下記、クレジット会社や消費者金融(サラ金)から一度でも借入をしたことがある方は、過払い金について弁護士に相談することをお勧めします。特に、過払い金の無料診断や無料相談を提供している法律事務所を利用するのが理想的です。

・ACOM(アコム)
・AIFUL(アイフル)
・AJカード(全日信販)
・アエル
・アップル
・アプラス/新生カード
・エイワ
・エヌケーシー
・エポス/丸井
・イズミヤカード
・イオンクレジットサービス
・オリエントコーポレーション
・オリックスクレジット
・カードサービス/アイワイカード
・CFJ/ディック/アイク/ユニマット
・JCBカード
・ジャックス
・GCカード/GEカード
・ほくせん
・セディナ
・セディナ/OMC/ダイエー
・セゾンファンデックス
・SCカード(山陰信販)
・高島屋クレジット
・ちばぎんカード
・トヨタファイナンス
・東急カード
・東武カードビジネス
・ニコス
・ニッセンレンエスコート/日専連ライフサービス
・ニッセンクレジット/マジカルカード
・ポケットカード
・ポケットバンク/三洋信販
・三井住友カード
・三井住友トラストカード
・サンステージ/ベルーナノーティス
・さくらカード
・しんきカード
・シティズ
・シンキ/ノーローン
・セブンCS
・ゼロファースト
・UCカード
・ユニーファイナンス
・UCS
・りそなカード
・レイク(新生銀行グループ)
・ワイジェイカード/ケーシーカード/国内信販
・出光クレジット/クレディセゾン
・エムアイカード
・ヴューカード

過払い金請求の時効

実際には2010年を迎える前に、2006年の最高裁判決の影響を受けて、消費者金融などの貸金業者は次々にグレーゾーン金利での貸付を停止しました。2007年頃には、すでに消費者金融が上限金利を改定し、グレーゾーン金利に抵触しないようにしていたため、過払い金が発生する場合はそれ以前の借入が対象となります。

【過払い金請求の時効について】
過払い金は完済から10年が経過すると消滅時効が成立し、その請求ができなくなります。2020年4月1日以降に完済した場合、過払い金の時効は完済日から10年、または過払い金の請求が可能であることを知ってから5年となります。例えば、2017年4月1日に完済し、その後そのカード会社との取引がない場合、時効が成立するのは2027年4月1日です。また、2027年4月1日までに取引履歴の取り寄せや過払い金の計算、及び過払い金返還請求書の送付を終える必要があります。
■基本的な時効ルール
• 完済後10年で時効成立(返済や借入をしなくなってから10年で時効)
• 2020年4月1日以降の完済案件は、完済から10年、または、過払い金を請求ができることを知ってから5年です。

【途中で完済した場合の過払い金の時効】
「過払い金は完済から10年が経過すると消滅時効が成立します」とお伝えしましたが、一度完済した後に再度借入を行った場合は例外が生じる可能性があります。例えば、2015年10月1日に完済し、半年後の2016年4月1日に再び借入をしたとします。この場合、一度目の完済から10年後の2025年10月1日が時効になるのでしょうか?結論として、一度完済した後ではなく、再度借入をした分を完済した後の10年が過払い金の時効になる可能性があります。これは、過払い金の計算が基本的にすべての取引に適用されるためです。取引期間が長い方も多く、一度完済した経験のある方々にも、過払い金を取り戻すチャンスがあるかもしれません。
■一度完済後、再度借入れを行った場合の取り扱い
• 最終的な完済日から10年が時効起算点となります
•これは、すべての取引を一連のものとして扱うためです

時効が迫っている過払い金請求の一時的な停止方法

内容証明郵便を利用してカード会社に「過払い金返還請求書」を送信することで、過払い金に関する時効を6ヵ月間延長することが可能です。
ただし、「過払い金返還請求書」を送る前に、カード会社から取引履歴の開示を受け、その情報を基に過払い利息の計算をすることが推奨されます。
取引履歴の開示から請求書の送付までには一定の時間がかかるため、過払い金が発生している可能性があると感じたら、早めに弁護士に相談することが重要です。

過払い金の時効を延長する方法

過払い金請求を裁判所に提出し、その請求が認められると、時効は一時的に停止します。また、その裁判で過払い金を請求できる権利が認められた場合、判決後に時効が10年間延長されます。しかし、訴訟を始めるには準備に時間がかかることがあります。そのため、過払い金の時効が迫っていると感じたり、過払い金の時効を迎えているか分からないなら、できるだけ早く弁護士に相談し、時効を止めることが重要です。

過払い金請求は弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきか

弁護士事務所、認定司法書士事務所、各事務所によって、無料診断や無料相談、着手金や後払い対応など、さまざまなサービスが提供されていますので、自分に合った法律事務所や法務事務所を探して依頼することをお勧めします。
【弁護士と司法書士の権限の違い】
・弁護士の過払い金請求可能額:140万円を超える場合でも代理人として対応可能。
・司法書士の過払い金請求可能額:1社からの請求金額が140万円を超える場合、代理人としての対応ができません。
司法書士は、過払い金が140万円を超える場合、相手方との交渉や裁判を行う権限を持たないため、その際は自分で交渉するか、弁護士に依頼し直す必要があります。

過払い金請求を依頼する際は、弁護士会と司法書士会で定められている報酬割合が同じであるため、弁護士か司法書士かを選ぶよりも、事務所の費用や経験を比較して選ぶことが重要です。また、初回相談時に報酬額の明示や費用の詳細についての説明が不足している事務所には注意が必要です。
【重視して選択する点】
・事務所の経験・実績
・費用の説明の明確さ
・対応の丁寧さ
・提供サービスの内容
【注意点】
・報酬額を明確に提示しない
・費用の内訳を詳しく説明しない
・連絡が取りにくい

過払い金請求にかかる費用の相場

過払い金請求に伴う費用は、依頼する事務所により異なります。ここでは、過払い金請求に掛かる費用の一般的な相場をご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
弁護士や司法書士に依頼する際には、相談料、着手金、減額報酬、成功報酬、その他の実費(送料など)がかかります。それぞれの内容について詳しく説明します。
【過払い金請求に係る費用の目安】
・相談料:一般的には1時間あたり5千円から1万円程度ですが、過払い金請求や借金問題に関する相談を無料で行う事務所もあります。
・着手金:おおよそ2万円前後が相場です。ただし、着手金が無料と謳っている事務所でも、通常減額報酬が発生しない部分については将来的に支払わなかったであろう利息を減額報酬として請求される場合があるため、依頼前に明確な見積書を提示してもらうことをおすすめします。
・減額報酬:約10%が相場です。例えば、50万円の借金が残っている状態で、50万円の過払い金がある場合に過払い金請求を行い、借金が相殺されてゼロになった場合、その減額は50万円となり、10%の減額報酬(50万円×10%=5万円)が発生します。
・過払い報酬:一般的に20%、訴訟を行った場合は25%が相場です。例えば、100万円を取り戻した場合は(100万円×20%=20万円)、訴訟で取り戻した場合は(100万円×25%=25万円)となります。
・送料や実費:送料や実費を別途請求する事務所もありますので、依頼前に郵送代や書類代などが見積もりに含まれているかどうかを確認した方が良いでしょう。
なお、消費税については税法に基づいて変動する可能性があります。
※複数の事務所から見積もりを取得して、より安価な法律事務所を選ぶのも一つの方法ですが、安さが安心に繋がらないケースもあります。事務所によっては減額報酬の取り扱いに違いがあるため、依頼者の意向に寄り添い、丁寧に見積もりを提示してくれる事務所を選ぶことが重要です。

過払い金に悩むなら弁護士に依頼しよう

認定司法書士は、1社あたり140万円を超える過払い金の取り扱いができないため、自分自身で裁判所に出向く必要があるか、再度弁護士に依頼しなければならない手間が発生します。また、過払い金を請求する際には、平日に行われる裁判で交渉が行われることがありますが、弁護士に依頼すれば、弁護士が裁判所に出向くため、お客様が仕事を休む必要はほとんどありません。

取引履歴の開示請求や複雑な引き直し計算も弁護士が行います。過払い金返還請求をするには、いくらの過払い金があるのかを計算することが不可欠ですが、相手方の金融機関が自主的に計算してくれるわけではありません。
過払い金を計算するには、借入の時期や金額、返済の履歴などが必要ですが、契約書などを自分で準備する必要はありません。弁護士が金融機関に対して開示請求を代行し、取引履歴に基づいて過払い金を計算します。この計算作業は、これまでの返済額の充当先を見直すことになります。

具体的には、利息に充当されていた返済額を、過払い金の場合には利息ではなく元本に対する弁済として再計算します。この一連の複雑な計算を「引き直し」と呼び、元本に対する返済を行うことで、新たな利息の発生が抑えられます。
その結果、実際には早期に借金を返済できていたことになります。返済が完了した後には、さらに支払っていた返済金が、場合によっては5%の利息を付けて戻ってくることになります。これが過払い金の計算の仕組みです。
法律事務所では、過払い金を正確に計算するためのシステムが整っているため、パソコンを使用した計算が得意でない方でも安心して任せることができるでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?この記事では、「過払い金請求とは」「過払い金請求が可能な方の条件」「過払い金がある可能性が高い金融会社名」「過払い金請求の時効」「過払い金請求は弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきか」「過払い金請求にかかる費用の相場」「過払い金に悩むなら弁護士に依頼しよう」について詳細に解説しました。
当法律事務所では、過払い金の有無について無料で診断を行っています。診断には約5分程度のお時間をいただきますので、お気軽にお問い合わせください。また、過払い金の可能性がある方には、金融機関から取引履歴を取り寄せて過払い金の計算を実施します。過払い金請求にかかる弁護士費用は後払い方式を採用しており、依頼後、取り戻した過払い金から弁護士費用を差し引いてお返ししますので、自己負担ゼロで過払い金の回収が可能です。
間違っていても問題ありません。過払い金が有るのか?無いのか?はっきりさせたくないですか?。過払い金がない場合でもご相談料はかかりません。過払い金請求の問題については、ぜひ弁護士にご相談ください。