「ハガキで請求書が届いた…。そこには『AG債権回収株式会社』と記載されているけれど、そんなところからお金を借りた記憶はない。ちょっと不安だし、無視してしまおうか。」
知らない業者からの請求書が届くと、驚いてしまいますよね。しかし、放置するのは決して良い選択とは言えません。
まず、アイフルやトヨタファイナンスなどの消費者金融やカードの支払期限が過ぎていないか、思い出してみてください。
AG債権回収株式会社は、そうした金融機関(元の債権者)から債務者に対する請求権を譲り受け、その請求を行う会社です。
この記事では、AG債権回収株式会社についての詳細と、「AG債権回収株式会社」と書かれた請求書を受け取った際の適切な対処法について、弁護士が解説します。
AG債権回収株式会社とは
目次
AG債権回収株式会社は、消費者金融業界の大手、アイフル株式会社のグループ企業です。本社は滋賀県草津市西大路町に位置しており、債権回収会社(サービサー)として広く認識されています。
この会社は2001年11月にアイフル株式会社とあおぞら銀行の共同出資によって設立され、当初は「アストライ債権回収株式会社」という名称でした。2020年7月に現在の「AG債権回収株式会社」に改名されました。主にアイフル株式会社の延滞債権を取り扱い、支払いが長期にわたって滞っている顧客に対して連絡を行うことが一般的です。
AG債権回収(旧アストライ債権回収)はアイフルグループの債権回収業務を担っています。そのため、親会社であるアイフルの不良債権を譲り受け、請求を行う場合があります。また、トヨタファイナンスなど他の金融機関の債権も取り扱っています。さらに、AG債権回収は、弁護士法人高橋裕次郎法律事務所や日本橋さくら法律事務所に回収業務を委託することも多く見られます。
債権回収会社や弁護士からの督促を受けた場合、その対応を怠ることは難しいでしょう。したがって、AG債権回収やその代理人である日本橋さくら法律事務所、高橋裕次郎法律事務所からの通知や電話(077-503-0220)には無視せず、適切な対応を行うことが重要です。
【会社概要】
商号:AG債権回収株式会社(英訳名:AG Loan Services Corporation)
設立:平成13年11月19日・2001年11月19日
株主:アイフル株式会社
本店所在地:〒525-0037 滋賀県草津市西大路町1番1号
TEL:077-503-0220(代表)
TEL:03-5539-0423(返済相談窓口)
支店所在地:〒105-0014 東京都港区芝二丁目31番19号 バンザイビル8F
TEL:03-4334-2000
TEL:03-5539-0423(返済相談窓口)
URL:https://www.a-g-sv.com/
債権回収会社とは
債権回収業務は基本的に弁護士または弁護士法人に限定されていますが、「サービサー法」に基づいて、特定の基準を満たし法務大臣の許可を受けた企業は債権回収会社(サービサー)として債権回収を行うことが可能です。AG債権回収株式会社は、この法務大臣の許可を取得しており、合法的に債権回収業務を行っています。
AG債権回収株式会社へ債権を譲渡する金融会社名
AG債権回収株式会社へ債権を譲渡する主な金融会社名は以下になります。
・アイフル
・トヨタファイナンス など
AG債権回収株式会社が弁護士法人高橋裕次郎法律事務所や日本橋さくら法律事務所に回収業務を委託することもあります。
AG債権回収に心当たりがない?「特別減額和解案」が届いた際の確認ポイント
AG債権回収からの催告書を受け取った場合、まずは冷静に対応することが大切です。書面は必ず開封して内容を確認しましょう。
以下のようなタイトルの書類も送られてくることがあります。
・特別減額和解案のご案内
・債権回収業務受任通知
・通知書
・債権譲受通知
・請求書
心当たりがないからと言って安易に連絡をすることは一旦やめましょう。
以下の4つを確認して、借金の内容を確認します。
・詐欺の可能性
・譲渡先の債権者はどこか
・遅延損害金を含め借金がいくらか把握する
・最後の取引日はいつか
詐欺の可能性
近年、債権回収会社を装った架空請求が増えているため、まず最初に詐欺でないかどうかを確認することが重要です。詐欺かどうかを判断するためには、送付された書類に記載された送り主の名称だけでなく、住所、電話番号、振込先口座、許可番号も確認しましょう。
詐欺の書類には以下のような特徴が見られます。
・住所の記載がない、または不完全(番地が記載されていない)
・電話番号が携帯電話番号である
・振込先口座が個人名義である
・何かしらの理由を付けて個人名義の通帳を指示してくる
・許可番号が記載されていない、もしくは無意味な番号が書かれている
AG債権回収株式会社の公式ウェブサイトと照らし合わせながら、これらの項目を一つずつ確認することをお勧めします。
譲渡先の債権者はどこか
AG債権回収から送付された書類が正当なものである場合、必ず元の債権者名が明記されていますので、しっかりと確認しましょう。
その債権者名は、過去にあなたが利用したサービスや借入金が未払いである業者の名前のはずです。
もし、心当たりがない場合や元の債権者名が記載されていない場合は、詐欺の可能性が考えられますので、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。
遅延損害金を含め借金がいくらか把握する
もし以前の債務先を覚えているなら、その支払い請求には正当な根拠がある可能性が高いでしょう。
まずは残債務額を正確に把握することが大切です。
AG債権回収からの請求書に記載された金額が、予想以上に膨らんでいることがあります。これは、支払いが滞った期間に発生した延滞金が上乗せされているためです。
請求書には、本来の借入額(元金)と、金利・延滞金が分けて表示されているはずです。慌てずに内容を精査してみましょう。
最後の取引日はいつか
借金の残高が明らかになった際には、最後の取引日、つまり最後に借り入れや返済を行った日も確認することが重要です。この日付には、以下のような関連情報があります。
・期限の利益喪失日
・最終貸付年月日
・債権の弁済期(債権譲渡の便宜的な日付が記載されていることもあります)
・約定弁済期日
・弁済期
最後の取引日は催告書に記載されていることがある一方で、記載がない場合もあります。その場合は、返済用口座の履歴や振込明細票、あるいはメモなどの資料を探し出して確認する必要があります。もし資料が全く残っていない場合は、ご自身の信用情報は、インターネットや郵送で簡単に請求することができます。
■信用情報機関は次の3つで、それぞれ異なる加盟会社があります。
CIC:クレジットカード会社、信販会社、携帯電話会社など
JICC:消費者金融、クレジットカード会社、携帯電話会社など
KSC:銀行、信用金庫、信用組合、協同組合、信用保証協会など
■信用情報を開示することによって得られる主なメリットは以下の3点です。
・借入内容や支払い履歴、滞納の有無を確認できる
・新規ローンやクレジットカードの審査に落ちた理由を理解できる
・金融機関や貸金業者からの照会履歴を確認できる
記憶があいまいな方は、全ての信用情報機関を利用して、ご自身の信用情報を確認すると良いでしょう。
※債権回収会社に債権譲渡されてから1年経過した場合、もとの債権者名は信用情報から削除されます。
AG債権回収から請求された債権の時効援用手続き
滞納している借金が消滅時効に達しているにもかかわらず、債権回収会社からの催促を受けることは少なくありません。そのため、元の債権者に対する滞納が長期間続いている方は、以下のポイントをしっかりと確認してください。
消滅時効が成立する条件
金融機関や債権回収会社からの借入金について、消滅時効が適用されるためには以下の2つの条件を満たす必要があります。
・最後の返済日から5年以上経過していること
・その期間の間に時効が中断されていないこと
もし最後の返済日が不明な場合は、信用情報(・JICC・CIC・KSC)で取得する方法があります。ただし、AG債権回収は貸金業者ではない為、信用情報機関に加盟していません。信用情報から得られるのは前の債権者(たとえば、譲渡されたアイフルなど)の情報に限られます。この情報も、アイフルからAG債権回収へ債権を譲渡してから1年経過すると信用情報からは消えてしまいます。
借金の消滅時効が更新(中断)される主な理由としては、以下のものが考えられます。
・債務を承認した場合
・裁判が提起され、債務名義を取得された場合
債権者との連絡の中で、支払いを約束したり、支払期限の延長や分割払いを申し出たりすると、債務を承認したことになります。この場合、消滅時効が成立するのは、その承認から5年後となります。さらに、債権者が支払督促や通常訴訟を行い、債務名義を取得された場合は、その時点から10年が経過するまでは消滅時効が適用されないことに注意が必要です。
消滅時効が成立している場合は時効援用で借金を無くす
消滅時効が成立している場合でも、借金が自動的に消えるわけではありません。法的には、債務者が時効を主張するまでは返済義務が残っています。つまり、借金が時効に達していることを明確に示す必要があります。
時効の主張とは、債権者に対して消滅時効が適用されることを理由に借金の返済を拒否する意向を示すことです。この主張は口頭でも認められますが、証拠が残っていない場合、将来的に債権者から再び請求されるリスクがあります。したがって、時効を主張する際には「消滅時効援用通知書」という書面を作成し、内容証明郵便で債権者に送ることが重要です。
期日までに電話した方がいい?
AG債権回収から送られてくる催告書には連絡先の電話番号が記載されており、指定された返済期限までに全額を返済できない場合は必ず連絡するように指示があります。しかし、消滅時効が適用される可能性がある場合は、電話での連絡を避ける方が賢明です。
電話をかけてしまうと、担当者から「いつまでなら支払えるか」「いくらなら支払えるか」といった質問を受け、その中で債務を承認するように誘導される恐れがあります。
時効を主張する際は、債権者に電話をする必要はありません。AG債権回収には何も言わずに内容証明郵便を送信しましょう。
ご自身での対応が不安な場合は、弁護士や認定司法書士に依頼することをお勧めします。彼らが代理人としてAG債権回収の担当者とやりとりを行うことで、債務を承認してしまうリスクを避けることができます。
消滅時効が成立していない状況下で催告を無視するリスク
借金の消滅時効が完成していない状況では、未払いの債務について、きちんとした対応が必要となります。 AG債権回収は正式に認可された債権回収会社であるため、法律違反となる取立て行為は行いませんが、支払い督促に応じない場合、法定の手続きに基づいて債権回収が段階的に進められることになります。
何度も督促を受ける
借金の支払いを怠り、催告に応じない場合、債権者からの督促が繰り返し行われることになります。
まず、文書による督促が行われ、通常の督促状から始まり、時間の経過とともに内容は厳格さを増していきます。最終的には期限を定めた法的措置の予告など、強い警告文が含まれるようになります。
また、文書による督促と並行して、電話による督促も実施されます。応答しない場合、連日の電話連絡や、勤務先への連絡といった事態に発展する可能性があります。特に、借金を家族や職場に知られたくない方は、このような事態を避けるためにも早めの対応が望ましいでしょう。
遅延損害金が加算される
催告を無視している間は借金の延滞が続いており、その結果として遅延損害金が累積することに注意が必要です。遅延損害金の利率は、通常の利率よりも高く設定されることが一般的です。また、債権回収会社が取得した債権は一括で請求されるため、滞納している元金全体に遅延損害金が適用されます。このため、AG債権回収からの催告を無視していると、短期間のうちに返済額が大きく増加し、最終的に返済が困難になるリスクが高まります。
■AG債権回収からの催告に応じない場合、以下のような深刻な事態を招く可能性があります。
・遅延損害金が継続的に加算
・通常の利息より高率な遅延損害金が発生
・滞納期間中、常に金額が増加
・債権の一括請求により負担増
・未払い元金全額に対して遅延損害金が適用
・支払うべき総額が急速に増大
このような状況が続くと、返済金額が雪だるま式に増加し、最終的に返済が困難になるケースが多くなります。そのため、催告を受けた際は早急な対応が望ましいと言えます。
裁判を起こされる
催告に応じない状態が続くと、法的手続きへと進展する可能性があります。 催告書の受領から訴訟提起までの時間は案件によって異なりますが、未払いが長期化すれば、訴訟リスクは確実に高まっていきます。 AG債権回収も、できる限り法的手段は回避したい意向から、複数回にわたり支払いを促す文書を送付しています。そのため、早期の対応が望ましいといえます。
給料や財産を差し押さえられる
裁判を提起された際には裁判所から書類が送付されますが、それを無視すると、裁判所がAG債権回収の請求内容をそのまま認めることになり、債務が確定します。
債務が確定すると、AG債権回収は強制執行手続きを通じて債務者の財産を差し押さえることができるようになります。
差し押さえの対象となる財産は主に給料や預金口座などです。
差し押さえが行われる前には通知がないことが多く、ある日突然に差し押さえが実施されることに対しても注意が必要です。
AG債権回収に返済できないときの対処法
債権の消滅時効が完成していない状況下でのリスクを軽減するためには、以下の対応が求められます。
自分で交渉
債権回収会社は、債権の一括支払いを迅速に求めてくることが多いですが、これは通常難しい場合が多いです。
そのような時は、早めにAG債権回収に連絡し、担当者に状況を説明して支払期日の延長や分割払いをお願いし、交渉を行うことが重要です。
AG債権回収の側も、債権回収にかかる手間や費用をなるべく抑えたいと考えているため、一定の相談には応じてくれるケースもあるでしょう。怒鳴られたり、一方的に責められたりすることはないので、恐れずに正直に返済金額の相談をすることが大切です。
ただし、弁護士や認定司法書士を介さずに自分で交渉を行うと、短期間での返済を求められたり、利息を加えられたりするなど、不利な和解条件を強いられる可能性があることには十分注意が必要です。
債務整理を考える
返済の見通しが立たない多額の借金を抱えている方には、債務整理という選択肢があります。
AG債権回収だけでなく、他社への債務もある場合には、債務整理を利用して解決することが良いでしょう。
債務整理の方法は、大きく分けて「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。いずれの手続きも法的な専門知識が必要となるため、弁護士や認定司法書士に相談することが賢明です。
任意整理の場合、法律の専門家が債権者と交渉を行い、延滞金の免除や返済期間の延長などの条件緩和を求めます。通常は3~5年の分割返済で和解が成立しますが、状況によってはさらに長期の返済計画も可能です。
個人再生は、裁判所を通じて債務の減額を申し立てる制度です。要件を満たせば、借金総額を約5分の1まで圧縮でき、その金額を3年から最長5年かけて返済することができます。
自己破産は、裁判所に申し立てを行うことで、一定の条件下で債務を全額免除してもらえる制度です。
ご自身の生活状況を専門家に正直に話、どの債務整理が一番良い方法なのかアドバイスを受けると良いでしょう。
AG債権回収から裁判を起こされたときの対処法
AG債権回収から訴訟を起こされた際には、まず裁判所での和解を目指すことが重要です。
このためには、希望する和解条件を記載した答弁書を裁判所に提出する必要があります。
通常、訴訟が提起された場合、裁判所から訴状が送付される際に、答弁書のフォーマットも同封されており、返済期限や分割払い回数、毎月の返済額などの希望を記入して、指定された期限内に裁判所へ返送します。
一方、支払督促が申し立てられた場合は、裁判所から送付された支払督促を受領後、2週間以内に異議申し立てを行う必要があります。異議申立書のフォーマットは、支払督促に同封されています。
異議申し立てが受理されると、通常訴訟の手続きに進むことになります。その際には、再度裁判所から裁判期日への呼出状や答弁書のフォーマットが送付されますので、その書式に希望する和解案を記入し、期限内に裁判所に返送します。
その後、裁判期日前にAG債権回収と直接の和解協議を行うか、裁判期日に裁判官を交えて協議を進めます。双方が合意すれば、裁判上の和解が成立します。
AG債権回収は和解協議に対して比較的柔軟に対応するため、裁判書類が届いたら落ち着いて内容を確認し、答弁書を提出して和解協議を進めることをお勧めします。
なお、裁判上の和解が成立しなかった場合には、任意整理で再度交渉するのは難しいことが多く、その結果として個人再生や自己破産を選択するケースが増える傾向があります。
財産を差し押さえられたときの対処法
差押えを受けた場合、給料や預金口座から一定の金額が自動的に差し引かれ、債務の返済に充てられます。
それでも完済できない場合は、残った借金についてAG債権回収と分割払いの交渉を行うか、債務整理の検討が必要になります。給料の差押えは毎月続くため、完済まで放置するという選択肢も存在します。
しかし、個人再生や自己破産を申し立てることで、差押えを停止することができます。裁判所で再生手続きや破産手続きの開始決定が下されると、差押え手続きは中断され、その後手続きが完了すれば差押えの効力が失われます。
なお、任意整理の場合は、裁判所を介さないため差押えを停止することはできません。
このように、AG債権回収によって財産が差し押さえられた場合でも解決策はありますので、あきらめずに弁護士や認定司法書士に相談することが重要です。
最後に
いかがでしたでしょうか?この記事では、「AG債権回収株式会社とは」「AG債権回収に心当たりがない?(特別減額和解案)が届いた際の確認ポイント」「AG債権回収から請求された債権の時効援用手続き」「消滅時効が成立していない状況下で催告を無視するリスク」「AG債権回収に返済できないときの対処法」「AG債権回収から裁判を起こされたときの対処法」など、詳しく解説してきました。
消滅時効に関する問題は、ちょっとしたミスが重大な影響を及ぼす可能性があるため、適切に処理を行うことが非常に重要です。特に注意が必要なのは、時効が成立した借金に対して誤って支払いを行ったり、支払う約束をしてしまうと、借金が新たに復活してしまうことです。
このリスクを避け、適切な解決策を見つけるため、当事務所ではAG債権回収株式会社からの通知を受け取った方々に無料相談を提供しています。法的手続きを希望される場合には料金が発生しますが、お客様の事情に応じた分割払いなど柔軟に対応可能ですので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。