債務整理を行った場合、基本的には新しい借入はできなくなります。住宅ローンも銀行からの借金に該当するため、新たに住宅ローンを組んで家を購入することは困難です。しかし、債務整理を行ったからといって、将来的に全く住宅ローンを組めないわけではありません。
本記事では、債務整理後に住宅ローンが組めない理由やその期間について、また債務整理後に住宅ローンを組みたい場合の対策について解説します。さらに、住宅ローンを返済中の方が債務整理を希望する際の対策や実際の事例についても詳しく紹介します。
債務整理後は原則5年~7年は借り入れできない
目次
債務整理を行うと、返済に苦しんでいた日常に明るい変化が訪れますが、その代償として信用情報機関に事故情報が登録されてしまい、いわゆるブラックリストに載った状態になります。このため、債務整理後の一定期間は住宅ローンを組むことができません。この登録期間は債務整理の手続きの種類によって異なります。また、任意整理中や任意整理後のしばらくの間も住宅ローンは組むことができず、任意整理が完済されてから5年が経過すれば、住宅ローンを組める可能性が高まります。
この記事では、債務整理後に住宅ローンを組めない期間について各手続きごとに解説するとともに、住宅ローンの審査に通りやすくするためのコツや申し込む際の注意点についても詳しく説明します。
任意整理後
任意整理とは、債権者(カード会社など)と話し合いを行い、利息の減額や返済期間の見直しを行う手続きです。通常3年、最長でも5年の返済計画を立て、元金を分割して支払っていきます。この手続きにより、毎月の返済額が従来の50~70%程度まで軽減できるケースもあります。
ただし、任意整理には注意点があります。手続きを行うと信用情報機関に記録が残り、借金完済後も5年間は情報が保存されます。そのため、この期間中は住宅ローンの審査が通りにくくなるなど、新たな借入れが制限される可能性があります。
なお、返済額の軽減幅は、これまでの取引履歴や適用されていた金利などの条件によって、個別に異なることをご理解ください。
個人再生後
個人再生制度は、債務者が返済困難な状況にあることを裁判所に申し立て、認可を受けることで、債務を大きく減額できる制度です。通常3年から最長5年の返済計画を立て、月々の支払額を従来の約5分の1まで軽減できる可能性があります。
ただし、個人再生を利用すると、その記録は信用情報機関に残ります。日本には3つの信用情報機関があり、主要な金融機関が加盟する全国銀行個人信用情報センター(KSC)では、この情報が7年間保持されます(2022年11月4日以前の案件は10年間)。
住宅ローンは一般的に銀行や信用金庫で組むことになりますが、個人再生の記録が残っている7年間は、これらの金融機関での住宅ローン契約が実質的に不可能となります。
自己破産後
自己破産とは、借金の返済が困難な状況に陥った際、裁判所に申し立てを行う法的手続きです。裁判所が支払不能状態を認定すると、原則として借金の支払義務が免除されます。
ただし、自己破産には重要な留意点があります。破産手続きを行うと、その情報は信用情報機関(KSC)に記録され、7年間保持されます(2022年11月4日以前の手続きは10年間)。この期間中は、住宅ローンをはじめとする各種借入れが制限され、新規の住宅ローンを銀行や信用金庫で組むことはできません。
債務整理した金融機関からの借り入れは難しい
金融機関で債務整理を行った場合、その情報は同一グループ内で共有されることがほとんどです。そのため、同じ金融機関やグループ会社に住宅ローンを申し込むと、過去の債務整理歴が審査に影響し、融資を断られる可能性が非常に高くなります。
このような理由から、住宅ローンの申し込みは、過去に債務整理を行った金融機関とは異なる、まったく別の金融機関を選択することをお勧めします。それにより、審査に通りやすくなる可能性が高まります。
金融会社グループ別
各金融会社はそれぞれのグループに分けられます。
◆三菱UFJフィナンシャル・グループ (MUFG)
・三菱UFJ銀行
・三菱UFJ信託銀行
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券
・MUFGリース株式会社
・MUFGキャピタル株式会社
・アコム株式会社
・アッとローン
・BANQUIC
◆三井住友フィナンシャルグループ (SMFG)
・三井住友フィナンシャルグループ (SMFG)
・三井住友銀行
・SMBC日興証券
・三井住友カード
・プロミス(現:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)
・SMBCモビット株式会社
◆みずほフィナンシャルグループ
・みずほ銀行
・みずほ信託銀行
・みずほ証券
・UC カード
・DCカード
なお、オリエントコーポレーション(オリコ)は、みずほ銀行が筆頭株主として約49%の株式を保有しています。
・JCB(株式の一部を保有)
◆新生銀行グループ
・新生銀行
・新生銀行レイク
・アプラス
・APLUS
・昭和リース
なお、2021年末に新生銀行はSBIホールディングスの子会社となりました。そのため、現在のレイクはSBIグループの一員とも言えます。”
債務整理後に住宅ローンを組みたい場合の確認手段
住宅ローンを申請する際、過去に債務整理を行った方は、まず自身の信用情報を確認することが重要です。具体的には、主要な3つの信用情報機関に対して、自分の信用記録について情報開示を依頼する必要があります。
各機関への開示請求手続きについては、それぞれの公式ホームページで詳しい案内が確認できます。これにより、ご自身の信用情報に事故情報が残っているかどうかを把握することができます。
■信用情報の開示請求先
・JICC(株式会社 日本信用情報期間)
URL:https://www.jicc.co.jp/
・CIC(株式会社シー・アイ・シー)
URL:https://www.cic.co.jp/index.html
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)
URL:https://www.zenginkyo.or.jp/
債務整理後にすぐに住宅ローンを組む方法
事故情報の登録があっても、住宅ローンを組む方法はあります。住宅ローンを組みたいと考えている方へ向けて、3つの対策を提案します。
配偶者や子供名義で住宅ローンを組む
債務整理を行った方の配偶者や子どもが住宅ローンを組むことは問題ありません。ただし、債務整理を行った本人と一緒にペアローンを組むことはできず、その本人は保証人としても立てられないことに注意が必要です。
連帯保証人を付ける
一般的に、住宅ローンを利用する際には連帯保証人は必要ありません。しかし、債務整理を経験した方の場合、住宅ローンが回収できないリスクが高まるため、ローンの契約が難しくなります。
しかし、経済的に余裕のある方に連帯保証人になってもらえれば、事故情報が記録されている期間中でも住宅ローンの取得が可能になるかもしれません。
とはいえ、それはあくまで可能性に過ぎず、実際には住宅ローンを組めないリスクが高いことに注意が必要です。
頭金を出来るだけ多くする
一定の金額の頭金を用意することで、住宅ローンの額を減少させることができ、その結果、ローンを組む可能性が高まります。
しかし、この場合もあくまで可能性が高くなるだけであり、住宅ローンを組むことができないリスクもあることを忘れないようにしましょう。
債務整理後、住宅ローンの審査を通すコツ
債務整理を行い完済してから、5年~7年以上経過したからといって、必ずしも住宅ローンの審査に通るとは限りません。審査を通過させるために、ここでは実際に審査を通りやすくするポイントを解説します。
債務整理した金融機関を外して申し込む
債務整理から5年~7年が経過すると、信用情報機関から事故情報の記録は削除されますが、一部の金融機関では独自に過去の利用者情報を保持している場合があります。そのため、以前に債務整理や長期延滞を行った金融機関では、住宅ローンの審査が厳しくなると考えられます。
これにより、 「債務整理の対象ではない」 「長期延滞がない」 「一度も借り入れたことがない金融機関」 に対してローン審査を申し込むことをおすすめします。
収入に見合った金額を算出する
毎月の返済額を低めに設定し、無理のない範囲で返済計画を立てることで、住宅ローンの審査を通過しやすくなります。
その判断基準として、返済比率を計算し、そのパーセンテージを見ることが重要です。
[返済比率=年間の返済総額÷年収×100]
返済比率が20~25%であれば、無理のない返済とされていますが、これよりも低ければ住宅ローンの審査に通る可能性が高まると考えられています。
頭金を用意する
住宅購入時の頭金は、物件価格の20%程度を目安に用意するのが良いとされています。
たとえば、3,000万円の物件であれば、600万円の頭金を用意することをお勧めします。
なぜ頭金が重要かというと、頭金を多く用意することで借入額を抑えられ、その結果、返済比率も下がるためです。これは住宅ローンの審査において大きなアドバンテージとなります。
つまり、十分な頭金を用意することは、ローン審査を有利に進める重要な要素の一つと言えるでしょう。
他の借り入れを完済しておく
債務整理を行った後、他の借入がある場合は、住宅ローンの審査が通りにくくなることがあります。そのため、申し込み前にできるだけ借金を完済しておくことが重要です。
受託ローンの審査が緩い金融機関を選ぶ
住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに違いがあり、中には比較的緩やかな審査を行うところも存在します。
メガバンクは審査が厳格な傾向にある一方で、地域密着型の金融機関(地方銀行、信用金庫、労働金庫、JAバンク等)は、より柔軟な審査を行う傾向があります。
また、ネット銀行は低金利や手数料の安さが魅力ですが、審査基準は必ずしも緩やかではありませんので、申し込みの際はこの点に留意する必要があります。
ペアローンで申し込む
ペアローンは、同じ物件を対象に複数の人(一般的には夫婦)がそれぞれの名義で住宅ローンを契約し、お互いが相手のローンの連帯保証人となる借入方法です。
この方法によって、合算した年収で審査を受けることができるため、借入額が増える可能性があります。
ただし、購入した物件は共有名義になるため、注意が必要です。ペアローンを利用することで、返済能力があるとみなされ、審査に通りやすくなる場合があります。金融機関によっては、適用人数が2人まで、同居していることが条件などがあるので、申し込む前にしっかりと確認してください。
債務整理後に住宅ローンを組めた人や組めなかった人の体験談
債務整理を経験された方の多くは、住宅ローンの審査基準を理解していても、実際に借入れできるかどうか心配されることが多いようです。
そこで、実際に債務整理後に住宅ローンの申し込みをされた方々の成功例・不成功例をご紹介させていただきます。これらの体験談が、同じような状況にある方の参考になれば幸いです。
住宅ローンを組めたAさんの体験談
【債務整理後の住宅ローン成功例】
<男性:当時29歳> 住宅ローンを完済した約5年後に申し込みました。購入した物件は中古の一戸建てで、価格は2,000万円でした。頭金として600万円を支払い、1,400万円を借り入れることにしました。
当時、私は合計で150万円の借金を抱えており、弁護士に任意整理を依頼しました。その結果、返済期間を5年に設定して無事に完済しました。その後、結婚を機に住宅購入を考えましたが、完済から少なくとも5年はローンが通らないことを理解していたため、その間は頭金を貯めることに努めました。
5年後、信用情報機関のブラックリストから私の情報が消えているのを確認しました。そして、手ごろな物件を見つけたため、銀行3社に住宅ローンを申し込みましたが、そのうち1社だけが審査を通過しました。審査が通った理由は正確にはわかりませんが、同じ会社で長期間正社員として働いていたことや、一定の頭金を準備できたこと、さらにブラックリストから情報が消えたことが大きな要因だったのではないかと考えています。
■基本情報
・申込者:29歳男性
・任意整理完済から申込までの期間:5年
・購入物件:中古一戸建て(2,000万円)
・資金計画:頭金600万円、借入1,400万円
■任意整理の経緯:当時150万円の債務を抱えており、弁護士に相談の上、5年の返済計画で完済しました。
■住宅購入までの準備
・完済後5年間は審査が通りにくいことを想定し、計画的に頭金を貯蓄 ・結婚を機に住宅購入を本格検討
・信用情報機関の記録抹消を確認後、住宅ローンを申込
■審査結果 申込銀行3社中1社で審査通過
■成功要因(申込者の分析)
・長期の正社員勤務による安定した収入
・十分な頭金の準備
・信用情報の完全回復
住宅ローンを組めたBさんの体験談
【債務整理後の住宅ローン体験談 ~住宅支援機構での成功例~】
<男性:当時37歳> 完済から約8年後に宅ローンを申し込み 購入した物件 / 新築一戸建て、3,000万円 頭金、借入額 / 頭金100万円、借入2,900万円 住宅購入は結婚当初からの妻の夢でしたが、私が任意整理をしたため、数年間は住宅以外のローンを組むことができませんでした。完済から8年が経過した時、スマホの分割払いのローン申請を行ったところ、審査に通ったため、住宅ローンも問題ないだろうと考え、購入を検討し始めました。
新築物件を見つけ、銀行3社に住宅ローンを申し込んだものの、結果的に全て落ちてしまいました。具体的な落ちた理由は不明でしたが、最終的に「住宅支援機構」に申し込むことにし、そこに最後の希望を託したところ、無事にローン審査が通りました。完済後、ローンを組むために特別な工夫はしていませんでしたが、スマホの料金や毎月の支払金を遅延しないよう注意することは心掛けていました。
■基本情報
・申込者:37歳男性
・債務整理完済から申込までの期間:8年
・購入物件:新築一戸建て(3,000万円)
・資金計画:頭金100万円、借入2,900万円
■住宅購入の動機 結婚当初からの妻の夢を実現するため
■住宅ローン申込までの経緯
・債務整理完済後、ローン審査の厳しさを認識
・8年経過後、スマートフォンの分割払いが承認
・住宅ローン申込みへの自信を得る
■審査結果
・民間銀行3社:審査不通過
・住宅支援機構:審査通過
■成功のポイント
・月々の支払いを一度も遅延せず
・公的機関である住宅支援機構の活用
・債務整理完済から十分な時間経過
■教訓
民間銀行での審査が通らなくても、住宅支援機構という選択肢があることを知っておくことが重要
住宅ローンを組めなかったAさんの体験談
【事例概要】
<男性:当時31歳> 完済後に住宅ローンを申し込んだのは約3.5年後 希望する物件価格 / 4,500万円 申請した借入額 / 4,000万円(頭金500万円)
収入が安定し、両親からの要望もあったため、住宅購入を真剣に考え始めました。ただし、任意整理を経験していたため、整理の対象になった債権者を除外し、別の金融機関の1社に絞って、給与の引き落としや定期預金をその銀行に移すことにしました。
当初、住宅ローンを3社検討していましたが、まずはその1社に申し込みました。しかし、残念ながら審査に通らない旨を伝えられました。他の金融機関にも申し込みましたが、いずれも審査には通過しませんでした。
それでも、住宅購入の意欲は変わらず、さらに頭金を貯めることにしました。最近、借金の完済から5年以上が経過したため、新たに住宅ローンの審査に申し込むことを検討しています。
■申請者プロフィール
・年齢:31歳(男性)
・任意整理完済から申込までの期間:3年6ヶ月
■物件・借入希望内容
・物件価格:4,500万円
・借入希望額:4,000万円
・頭金:500万円
■経緯
収入が安定し、両親からの勧めもあり、住宅購入を検討。任意整理の経歴を考慮し、以下の戦略で住宅ローン申請に臨みました。
■申請先の選定
・任意整理対象だった金融機関を除外
・メインバンクを1社に集中
・給与振込口座の移管
・定期預金の一本化
■申請結果
・第一候補の金融機関:審査否決
・他2社へも申請するも、いずれも承認に至らず
このように、慎重な準備を行ったものの、任意整理後の住宅ローン取得は困難を極めました。
住宅ローンを組めなかったBさんの体験談
【事例概要】
<男性:当時38歳> 完済後に住宅ローンを申し込んだのは約3年後 希望していた物件価格 / 2,000万円 申請した借入額 /1,900万円(頭金100万円)
任意整理後、借金を完済したため、マンション購入を目指して住宅ローンの申し込みを行いました。審査に通るか不安もありましたが、妻に「駄目元でいいから」と励まされたことが後押しとなりました。任意整理の履歴があるため、普通に申し込んでも審査に落ちる可能性が高いと感じていました。
そこで、住宅ローンに通るための対策として、住んでいる地域に複数の銀行がある中で、給与口座を持っている銀行を選ぶことにしました。そして、以前から貯めていた貯金の100万円を全額頭金として使いました。他の銀行の住宅ローンも検討しましたが、何社も申し込むのは効率が悪いと判断し、給与口座のある銀行のみに絞りました。しかし、残念ながら審査には通過できませんでした。その後、新築の賃貸マンションを見つけ、今はそこで生活しています。
■申請者プロフィール
・年齢:38歳(男性)
・任意整理完済から申込までの期間:3年
■物件・借入希望内容
・物件価格:2,000万円
・借入希望額:1,900万円
・頭金:100万円
【住宅ローン申請の経緯】
■申請に向けた準備
・メインバンク(給与振込口座のある銀行)に絞って申請
・貯蓄100万円を頭金として全額充当
■申請の判断理由
・妻の勧めもあり、可能性を探るため申請を決意
・複数行への申請は効率的でないと判断し、メインバンクのみに集中
■結果と対応
・審査結果:否決
・代替策として新築賃貸マンションへの入居を選択
■考察
任意整理歴があることを考慮し、以下の工夫を行いましたが、承認には至りませんでした。
・メインバンクへの絞り込み
・全額頭金の提示 結果として、住宅購入は断念し、賃貸での居住を選択することになりました。
住宅ローン返済中に債務整理を検討する場合
住宅ローンを抱えている方が、新たに借金を重ねてしまい、返済に困ることもあります。そんな時には、債務整理が必要になることもあります。この記事では、住宅ローンの返済中でも債務整理を利用して借金問題を解決できるかについて解説します。
任意整理の場合
任意整理を利用すれば、住宅ローンを除外して手続きを進めることができます。任意整理では、手続き対象のカード会社を選ぶことができるため、住宅ローンは対象から外し、通常通り返済を続けることが可能です。これにより、住宅ローン以外の借金のみを任意整理することができます。このような理由から、任意整理は住宅ローン以外にも借金のある方で、自宅を保持したまま借金問題を解決したい方に適しています。
個人再生の場合
個人再生では、自宅を保持したまま手続きを進める方法が存在します。「任意整理では借金問題を解決しづらいが、自宅を守りたい」と考えている方は、個人再生を考慮してみましょう。
個人再生では、通常、住宅ローン以外の債務は一定のルールに従って減額されます。ただし、担保が付いている債務に関しては、担保権が行使される可能性があります。このため、もし住宅ローンが減額されることになれば、抵当権を設定された自宅を失う危険があります。
その一方で、個人再生には「住宅資金貸付債権に関する特則」が利用可能です。この特則は、通称「住宅資金特別条項」とも呼ばれ、一定の条件を満たす場合には、住宅ローンを再生計画において一律に減額したり、支払期間を延長したりすることはないというものです。
これにより、住宅ローンを他の借金とは別に扱い、利息や元金、遅延損害金の全額(または債権者の同意が得られた金額)を返済できるようになります。結果として、自宅を守ったまま借金を完済することが可能になるのです。
自己破産の場合
自己破産では借金は免除されますが、自宅を保持することは難しくなります。自己破産を選ぶことで借金問題を解決できる一方で、一定額を超える資産は処分され、債権者に分配されるからです。
もし住宅ローンが残っていて、自宅に抵当権が設定されている場合、抵当権者によって競売にかけられることになります。また、住宅ローンがない場合でも、自宅は裁判所が指定した破産管財人によって換価処分されてしまいます。
「自己破産を選びたくない」と考える方には、住宅を売却して借金を整理する「任意売却」という方法もあります。ただし、自己破産も任意売却もどちらを選んでも自宅を残すことはできないため、慎重な検討が必要です。
住宅ローン返済中に債務整理を利用して借金問題を解決した実例
債務整理のご依頼を受け、住宅ローンの返済を続けながらも、住宅ローン以外の借金を解決できた事例をご紹介いたします。
Aさん
Aさん(58歳男性)のケース
住宅ローンを抱えながら、パチンコや競馬にのめり込み、借入を始めたAさん。自動車もローンで購入した結果、住宅ローン以外の借金が約490万円に達してしまいました。住宅を維持したいと考えていたTさんでしたが、高額な支払額がネックとなり、任意整理は難しいとの判断に至りました。そこで、個人再生の手続きを選択し、自宅を保持しながら借金を大幅に減らすことができ、月々の返済が軽減されました。
【状況】
・住宅ローン返済中のAさんがギャンブル(パチンコ・競馬)で借金を重ねる
・マイカーローンも加わり、住宅ローン以外の債務が約490万円に到達
・住居を手放したくないとの希望あり
【解決策】
・任意整理は月額返済負担が大きく現実的でないと判断
・個人再生手続きを選択し、自宅を保持しながら債務圧縮に成功
【手続きによる改善結果】
毎月の返済額 改善前:131,000円
改善後:28,000円(約79%減)
【総債務額】
改善前:490万円
改善後:100万円(約80%減)
債務整理が住宅ローンに与える影響に悩むなら、弁護士に相談してみよう
債務整理後であっても、信用情報機関への事故情報の登録期間が終了すれば、住宅ローンの申し込みが可能となります。また、登録期間内であっても、配偶者名義での申し込みなど、住宅ローン取得への代替手段が存在します。
さらに、住宅ローンの返済に行き詰まった場合でも、居住用不動産を手放すことなく、債務問題を解決できる選択肢があります。
ただし、個々の状況に応じて最適な解決策は異なります。借入額、収入状況、保有資産などの要因を総合的に判断する必要があるため、専門知識と豊富な実務経験を持つ弁護士への相談をお勧めいたします。
最後に
いかがでしたか?。この記事では、「債務整理後は原則として5年から7年間は新たな借り入れができない」、「債務整理を行った金融機関からの借り入れは難しい」、「債務整理後すぐに住宅ローンを組む方法」、「債務整理後に住宅ローンの審査に通過するためのコツ」、「債務整理を経て住宅ローンを組むことができた人々の体験談」、「住宅ローン返済中に債務整理を検討する場合」、「住宅ローン返済中に債務整理を利用して借金問題を解決した実例」、について詳しく解説しました。債務整理が住宅ローンに及ぼす影響について悩んでいる方は、弁護士に相談することをお勧めします。
借金に苦しむ方の中には、将来の住宅ローンを考えるあまり、債務整理をためらうこともあります。しかし、まずは目の前の借金問題を優先的に解決してみてはいかがでしょうか。例えば、2年前に借金返済に悩んでいた方が、住宅ローンの影響を懸念して任意整理を行わなかった結果、結局自己破産に至ったケースもあります。
借金問題は、早期の相談と早期の解決が基本です。将来を見据えることも重要ですが、まずは今の苦しみを見つめ直し、早く借金のない生活を取り戻していただきたいと心から願います。
当事務所では、借金に関する相談は無料で受け付けております。また、債務整理にかかる費用も分割で対応可能です。一日でも早く借金生活から脱却し、借金のない元の生活を取り戻すお手伝いができればと思っています。